巨人坂本「お前３年やって本物だからな。３年やるまで俺は認めねえぞ」

　２０１３年に僕がプロ入りした時、勇人さんは７年目でした。当時、１学年先輩の勇人さんからは「お前３年やって本物だからな。３年やるまで俺は認めねえぞ」とずっと言われていました。入団から３年間、１軍である程度の成績を残せましたが、今度は「一生認めないからな」みたいな感じでした。

　適切な言葉か分からないですが、目の上のたんこぶというか、勇人さんに負けたくないなと思う自分がいて。投手、野手で違うし比較はできないですけど、何とかこの人に認めてもらえるように頑張ろう、と思ってやってきました。年が近いこともありますし、どうすればチームが強くなるのか何度も一緒に話をして。僕にとって唯一、思いを共感してもらえる存在です。

　若い選手にも同じような考えを持ってほしいと思っていて、今年２年目の戸郷にはいろいろな話をしてきました。今月３日の広島戦（マツダ）ではプロ初完封目前の９回２死一塁から同点２ラン。後日、彼には「ぬるいな」と言いました。

　もちろんナイスピッチングだし、ナイスピッチングと言ってあげたいですよ。でも、そういう言葉ってみんなかけてると思うので、あえて戸郷にはそういうふうに接しています。だんだん活躍していくと厳しいことを言ってくれる人も少なくなっていくので。ここまで弱音も吐かず投げ続けて根性あるなと思いますし、何とか一人前にしてあげたいというか。彼の素質からすれば放っておいても一人前になると思いますけどね。

　０６年オールスターの予告ストレートは僕が高校２年の時で、テレビで見て衝撃を受けました。１７年に甲子園で１度だけ球児さんの打席に立ったことがあって、空振り三振。本当にすんごい球だなと。３０代後半でさらにレベルアップできるのは半端じゃない努力だったと思います。それを打席で感じることができたので、僕にとってあの打席はうれしかったですね。

　リーグ優勝できましたが、目標は日本一です。主将の勇人さんが誰よりも強くそう思っていると思います。個人的には日本シリーズの前にあと１試合投げると思います。長いイニングは投げないと思いますし、あくまで日本シリーズに向けてというところです。チームメート、ファンの皆さんにも、これだったらジャイアンツ期待できるな、日本シリーズいけるんじゃないかな、と思ってもらえるようなピッチングができるように準備しています。（菅野　智之）